ブドウの生理障害の多くは、
病気ではなく「管理のズレ」が原因です。
特に重要なのは、
- 樹勢と着果量のバランス
- 開花期前後の環境(温度・水分)
- 微量要素不足(ホウ素・Mg・Mnなど)
- ホルモン処理(ジベレリン)の適否
この4点が崩れたとき、
花ぶるい・縮果症・着色不良は連鎖的に起こります。
1. 花ぶるい(花振い)
症状
- 開花後に花が大量に落ちる
- 房がスカスカになる
主な原因
- 樹勢過強(窒素過多・強剪定)
- 開花期の低温・長雨・日照不足
- ジベレリン処理の時期・濃度不適合
- ホウ素欠乏による花器異常
対処・予防
- 開花前の窒素施肥を控える
- 徒長枝は開花3〜5日前までに軽く摘心
- ホウ素資材を少量・適期に施用
- ジベ処理は満開基準で実施(天候注意)
👉 強い樹ほど“何もしない勇気”が必要
2. 縮果症(ミルランダージュ)
症状
- 小粒と正常粒が混在
- 房全体の粒揃いが悪い
主な原因
- 開花期の受精不良(低温・雨)
- 樹勢と着果量のアンバランス
- ホウ素・モリブデン欠乏
対処・予防
- 早めの摘房で房数を減らす
- 開花期の急乾燥・過湿を避ける
- 微量要素(B・Mo・Mg)を診断ベースで補給
3. 果粒肥大不良・小粒化
原因
- 摘粒・摘房の遅れ
- 第Ⅰ期(落花後)の水分不足
- 樹勢過強で新梢に養分が流れる
対策
- 落花直後〜ジベ2回目までに粒数調整
- 初期肥大期は水分を安定供給
- 副梢整理で養分を房へ誘導
4. 着色不良
原因
- 高温(夜温が下がらない)
- 着果過多
- 窒素過多
- マンガン欠乏
対策
- 着果量の見直し(最優先)
- 過度な窒素を避ける
- 反射シート・棚上散水で高温緩和
- Mn資材の適正施用
5. 日焼果・高温障害果
原因
- 急激な除葉による房の露出
- 直射日光+高温
対策
- 除葉は段階的に
- 遮光ネット・傘かけ
- 樹冠内の風通し改善
6. 裂果(亀裂果)
原因
- 乾燥後の急な多雨・潅水
- 果皮が薄い品種
- 無理な肥大
対策
- 土壌水分を安定させる
- 早期から粒数制限
- 収穫前の過剰潅水を避ける
7. 栄養障害(葉・樹体)
| 障害 | 症状 | 対策 |
|---|---|---|
| Mg欠乏 | トラ葉 | 苦土石灰・葉面散布 |
| K欠乏 | 葉縁褐変 | カリ施肥の見直し |
| Mn欠乏 | ゴマシオ果 | Mn資材補給 |
| ホウ素欠乏 | アン入り果 | 適量施用(過剰注意) |
まとめ|生理障害を防ぐための共通原則
ブドウの生理障害は、
樹勢 × 着果量 × タイミング
このバランスが崩れた結果として現れます。
✔ 強すぎない剪定
✔ 房数・粒数の早期調整
✔ 開花期前後の環境安定
✔ 微量要素は「足りない分だけ」
これを守ることで、
花ぶるいも縮果症も**“起きにくい樹”を作ることができます**。


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