ブドウ栽培の3〜6月は、
**「一つひとつの作業の正否」ではなく
「作業の順番・タイミング・判断ミス」**で失敗が決まります。
この期間は
- 作業が多い
- 判断が連続する
- 後戻りができない
という特徴があります。
本記事は、知識解説ではありません。
**現場でそのまま使う「作業手順書(SOP)」**です。
上から順に確認し、
✔ 実施
✔ 判断
✔ 次工程へ
と進めてください。
【前提条件】
- 栽培地:長野県千曲市
- 対象:種なし巨峰・シャインマスカット等の短梢栽培
- ハウス栽培を想定
- 記載内容は提示情報のみに基づく
3月|本剪定〜発芽をそろえる準備期間
この時期の目的
- 芽の位置・数・向きを揃える
- 1年の骨格を確定させる
3月上旬|本剪定(最重要工程)
作業目的
- 新梢の発生位置を揃える
- 生育のばらつきを抑える
手順
1️⃣ 剪定位置の決定
- 各芽座につき
基底芽+1芽(計2芽)を残す - 2芽の節で切り、3芽目は残さない
2️⃣ 切り口の確認
- 芽のすぐ上で切らない
- 乾燥防止のため余裕を持たせる
3️⃣ 芽の高さを揃える
- 各芽座の1芽目が
できるだけ同じ高さになるよう調整
判断・注意点(重要)
- 基底芽の房は品質が劣るとされる
- 1芽目が下向きで誘引困難な場合のみ
2芽目を採用する選択肢あり - 太すぎる枝・細すぎる枝は積極的に除去
(目安:鉛筆〜小指程度)
3月中旬|粗皮削り・発芽促進処理
① 粗皮削り
目的
- クワコナカイガラムシ等の越冬場所を除去
- 病原菌の温床を排除
手順
- 主幹・主枝の古い皮を丁寧に削る
- 白い綿状物を見つけた場合は記録
② メリット青(発芽促進)
目的
- 発芽を揃える
- 芽勢を均一化
処理方法(いずれか)
- 塗布:
10aあたり メリット青3L+水3L
スポンジ・ハケで芽座に処理 - 散布(慣行):
10aあたり メリット青6L+水6L
噴霧器で芽座に処理
※ 処理対象は芽座のみ
3月下旬|仕上げ作業
- 粗皮削り(未実施部分)
- 成りカス(穂軸)・巻きひげの除去
→ 晩腐病・黒とう病の予防
4月|発芽前後〜初期防除・観察期間
この時期の目的
- 発芽状況を把握する
- 初期病害を持ち込まない
4月上旬|防除スタート
作業
- 藁外し(防除前)
- 1回目防除
- 対象:晩腐病・黒とう病・つる割れ病
- ハウス周辺ネット撤去
注意点
- 凍霜害防止のため
5月下旬まで敷き藁はしない - 草丈は低く管理
4月中旬|発芽直前防除
作業
- 2回目防除
- 発芽直前(芽が膨らみ、緑が見える頃)
- 対象:晩腐病・黒とう病・つる割れ病
+ ハダニ・サビダニ
- 降雨不足時はかん水
重要判断
- 石灰硫黄合剤は
ハウス被覆を傷めるため使用しない
4月下旬|特別防除の判断
- 3月の粗皮削りで
白い綿状物が確認された場合のみ - 特別防除を実施
5月|新梢管理・房数決定の月
この時期の目的
- 新梢数を制御する
- 今年の収量を決定する
5月上旬|芽かき(1回目)
タイミング
- 展葉3〜5枚
- 新梢長10〜15cm
対象
- 副芽
- 不定芽
- 種枝基部の弱い新梢
判断ルール
- 主芽の花穂を確認してから実施
- 凍霜害リスクがあるため
慌てて行わない - 必ずハサミで行う
5月中旬|芽かき(2回目)・誘引開始
タイミング
- 展葉7〜8枚
- 新梢長 約50cm
作業
- 芽かき(混み合い解消)
- 誘引
- 巻きひげ除去
- 必要に応じ追肥
判断基準
- 原則:1芽座1新梢
- 欠損部があれば
進行方向側から2本伸ばして補う - 誘引・捻枝は
昼前〜午後に実施
5月下旬|摘房・開花準備
作業
- 5回目防除(満開14日前)
- 摘房(最終着果量の2倍残す)
- 肩落とし
- 巻きひげ除去
房の選び方
- 穂軸がまっすぐ
- 副穂(肩)がある花穂
- 樹勢に応じて残す数を調整
6月|開花・ジベレリン・摘粒の集中期
この時期の目的
- 無核化の成功
- 房型・粒数を確定
6月上旬|開花〜第1回ジベレリン
作業
- 6回目防除(開花直前)
- 摘芯(強い新梢のみ)
- 房こき
- 第1回ジベレリン(25ppm)
- フルメット(5ppm)
- 巻きひげ除去
注意
- ジベ処理後の降雨 → 再処理検討
- 天気予報を必ず確認
6月中旬|第2回ジベレリン・予備摘粒
作業
- 7回目防除(落花直後)
- 予備摘粒
- 第2回ジベレリン(25ppm)
- 房丈調整
- 摘房(2回目)
- 副梢管理
判断基準
- 果粒横径9mm以上で処理
- 処理後は房を振って水滴除去
- 夕方・曇天処理は避ける
6月下旬|本摘粒・仕上げ管理
作業
- 本摘粒
- 8回目防除
- 副梢管理
- かん水
摘粒の考え方
- 外向きの粒を残す
- 支梗は残さない
- 房を触りすぎない
まとめ|3〜6月で「失敗しない」ために
- 作業の正解より
順番とタイミング - 迷ったら
早すぎず・遅すぎず - 判断は
その時の樹の状態基準
この手順を
毎年そのまま再生できること
それが最大の省力化です。

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